ラムの映画&本ライフ

ラムの趣味である映画と本のレビューです。★5で満点、10通りに評価しています。
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てるてる坊主の照子さん ★★★★

2016年6月10日読了


なかにし礼/新潮社

(STORY)
戦後、大阪・池田市。復員してからパン屋を始めた岩田春男と妻・照子の間には、春子、夏子、秋子、冬子の4人の姉妹が生れた。照子のアイデアでTV喫茶は大繁盛。長女の春子はフィギュアスケートの選手に、夏子は歌手とメキメキと才能を発揮し、下の2人もスクスクと成長していく。笑いあり、涙ありの岩田一家の描いたホームドラマ。


(REVIEW)
朝のTV小説「てるてる家族」の原作。
本書の著者であり、作詞家のなかにし礼さんの奥様(4女)、
歌手のいしだあゆみ(2女)の家族がモデルです。

著者の家族をモデルにした「兄弟」「赤い月」とは違い、
本書の岩田家は底抜けに明るいです。
なかにしさんの文章は勢いがあるので、読みやすい。
TVと同じく、明るく人情味があふれて、クスっと笑えて、ほろりとさせてくれる。
読んだ後もほのぼの感に浸ります。

話の中心もTV版と同じく、4姉妹の母の照子さんですが、
TV版は4姉妹をバランスよく描かれていたのに対し、
本書は長女と次女がほとんど。
あとの二人は付録?みたいな。

ただ私としては、TV版の秋子と冬子の個性的なキャラが印象に深かったので、
二人の心情をもっと描いてほしかったです。

原作を先に読んだら、違う評価かもしれませんが、
私的、その点が物足りなかったです。

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兄弟 ★★★★☆

2016年5月14日再読

なかにし礼/文藝春秋

(STORY)
作詞家の著者の元に兄が死んだという報せが届く。
16年待った。思わず小さな声だ「万歳!」と叫んだ。
胸中に蘇えるのは、敗戦後、復員してきた兄。破滅的な彼のせいで翻弄され続けた自分。
兄への怒り、憎しみ・・兄弟という絆をを描く、なかにし礼の自叙伝小説。


(REVIEW)
本書を手にしたのは豊川悦司、ビートたけし主演ドラマ化の時。
久しぶりの再読となります。

なかにしさんの文章は、読ませる力があります。
文章に力があり、引き込まれたと思ったら、あっという間に読了。
たしか・・、あれ?とページを戻ることはなく、
それよりか、あまりにものすさまじさに息をつく暇もなかったです。

他人なら付き合いをやめても、血縁はそうはいきません。
そのせいか、家族がらみの事件、トラブルが多く、中西さんもそのひとりです。

数々のヒット作に恵まれながらも、兄に稼ぎを吸い取られてしまう。
もう許せないと思っても、なぜか兄を許してしまう自分。
もし、兄がいなければ苦しみことはなかったかもしれない。
でも、その分、喜びも味わうこともなかった。
つまり、なかにしさんのヒット作には苦しみがあったからこそ生まれたもの。
兄がいたからこそ生まれた傑作だったのです。

その兄が死んだ。
著者は「万歳!」「死んでくれてありがとう」と。
兄が死んでほっとしているはずなのに、
もうひとりの自分、自分の影をなくしたようでくやしさがこみ上げてくる。

長年、兄に苦しめられ、憎しみ続けながらも、切っても切れない兄弟の絆。
ふたりはひとつであったことを感じずにはいられませんでした。











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