ラムの映画&本ライフ

ラムの趣味である映画と本のレビューです。★5で満点、10通りに評価しています。
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あん ★★★★★

2016年3月21日読了

([と]1-2)あん (ポプラ文庫)
([と]1-2)あん (ポプラ文庫)ドリアン助川

ポプラ社 2015-04-03
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(STORY)
線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店でどら焼きを焼いている仙太郎。ある日、働き口を求めにひとりの老婆がやってきた。彼女の名は徳江。70歳過ぎで、しかも体が不自由。しかし、彼女が作るあんは舌を巻くほど美味しく、それが評判を呼び、店は繁盛。しかし、店のオーナーは、徳江がハンセン病であること聞きつけ、辞めさせろと言う。


(REVIRE)
世の中、集団に属さない人間は排除される。
暗い過去を背負う千太郎も、
かつてハンセン病を患い、体が不自由な徳江も。
そんなふたりは、「あん」を通じて心を通わせていきます。

しかし、世間の風は冷たい。
徳江はハンセン病を何十年前の完治しているのに、
彼女のおかげで店が繁盛しているのにもかかわらず、
オーナーは辞めさせろという。

少女時代に家族から隔離され、社会からも隔離され、
愛する人は先に旅立ち、彼女の人生って、一体なんだっただろうか?

偏見から追われていく徳江と、追い詰められていく千太郎の手紙のやりとりが、
なんともせつなかったです。

「生きる意味があるんです」

「あなたはあなたらしい人生が送れるはず」

「それが自分の人生だと思う日が来るのです」


心にしみる、救われる言葉です。

少数派の属する私も、今の世の中、なんて生きにくいだろうと感じることがあります。
なんで自分だけが・・この先いいことがあるのだろうか・・も。
光と希望を与えてくれるようなビタミン剤のような一冊でした。

病気や偏見と暗い題材であるのにもかかわらず、読むものを暖かい気持ちのさせてくれる作者の執筆に脱帽です。


noriさんからお借りしました、ありがとうございました。


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学年ビリのギャルが1年で偏差値40上げて慶応大学に現役合格した話  ★★★★

(2015年10月21日読了)

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)坪田信貴

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-04-10
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(内容)
偏差値30、学年ビリの金髪少女が、坪井先生と出会い運命を変えた。
「慶応に行く!」金髪少女のことさやかちゃんが、1年半にもわたる苦闘の末、慶応大学に現役合格するまでのノンフィクションストーリー。


(REVIEW)
映画化にもなった話題作。
今回読もうとしたきっかけは「下流の宴」(林真理子著)に登場する、
不可能と思われた医大に合格した女性に感動したからです。
これぞまさに奇跡を起こす、ならばリアルではどうなのか?

著者(塾の先生)の堅苦しくもなく、
軽いテンポで時にはクスっと笑わせる文章が読みやすい、
話に入りやすいです。
実は読む前に某通販サイトで賛否両輪を見かけましたが、
確かに主人公の少女(さやか)はもともと頭がいいでしょう。
脚色してあるかもしれない。
そんなのはどうでもいい。
奇跡というドラマチックな話が好きな私は、
彼女の成功に胸が熱くなりました。

著者は、心理学を学んだ塾の先生です。
見るからにギャルで、しかも小学校レベルしかない”さやか”を
最初の挨拶で可能性があると見抜いた。
そして、どうすれが彼女は勉強に興味をもってくれるか、
付録にありましたが、性格を診断して指導するすることが大事。
生徒は十人十色、同じに指導して伸びる子と伸びない子もいる。
付録の「坪田式・性格指導法の判定、Q&A]↓は、仕事にも役に立ちそうです。

それぞれのタイプの指導法(メモさせてもらいます)
完全主義タイプ・・・・細かいことよりも大局へ目を向けさせる。
献身タイプ・・・・・・自分のことより感謝されることにモチベーションがあがる。
達成感タイプ・・・・・成長していくところを人前で褒めながら、時間をかけてやらせる。
芸術家タイプ・・・・・一般論で語らず、個性を認めて指導する。
研究者タイプ・・・・・バランスよく受験対策ができるように配慮する。
堅実家タイプ・・・・・細かな計画を一緒にたてる。
楽天家タイプ・・・・・バラ色の人生を語ってやる気を出させる(さやかちゃんがこのタイプ)。
統率者タイプ・・・・・「勝つか負けるか」で声掛けをする。
調停者タイプ・・・・・目標達成の意識を持たせ、達成感を積み重ねていく。


受験、奇跡と思い出すのが、「生徒諸君!」のチビ(岩崎君)
ナッキーと同じ高校に行きたくて、浪人を覚悟して挑んだ受験。
チビのがんばりが奇跡を呼び、見事合格。
あの頃の「生徒諸君!」よかったのう~(しみじみ・・)

アルジャーノンに花束を ★★★★★

(2015年4月11日再読)

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
(2015/03/13)
ダニエル・キイス

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(STORY)
チャーリィ・ゴートン、33歳。昼間はパン屋で働く彼は、幼児の知能しかなかった。ある日、大学の教授から頭をよくしてくれるという申し出があった。願ってもないチャンスを喜んだチャーリィは手術を受け、天才と変貌すると共に共に新しい世界が広がった。しかし、同じ手術を受けた白ねずみのアルジャーノンが衰退し、自らの運命を暗示されていることを知る。


(REVIEW)
初めて読んだのは四半世紀前。
読了後、今までの価値観を覆され、目から鱗が落ちました。
その余韻が今でも忘れられません。

再読しても同じ、読了した後は昔と同じ興奮があります。
話は古い臭くないし、現代にも通じます。

チャーリィのように頭をよくしてもらるなら、美人に、金持ちにしてくれるならどんなにいいか。
ドラえもん、魔法使いよ、夢をかなえておくれ!と願ったことか・・
そんな夢を抱いていた頃、美味しい話はツケがあると知らなかった純粋無垢な頃。
そんな頃もあったのね・・・主人公チャーリィのように。

IQ68しかないチャーリィは、実験で高い知能を得て瞬く間に天才となります。
知識を得た分だけ新しい世界が開けてくる、向上心もわいてきます。
しかし、得た分だけツケもやってくるのです。
先に同じモルモットになった白ネズミのアルジャーノンが退化し死亡したことから、
自分もそうなる運命だと悟ったチャーリィ。
人工で誘発された知能は、その増大量に比例して低下していくしかない。
彼は苦悩し自殺しようと考えましたが、命を絶つわけにはいかなかったのです。
体は同じでも、白痴の頃のチャーリィと天才のチャーリィとではまったくの別人。
もうひとりの自分を考えると、身勝手に命を絶つわけにはいかなかったのです。

高い知能と共に得た感情は、人間関係を複雑にしてしまう。
今まで好いていた友達が自分のことをバカにしていたかと思うと、腹立たしくなっていく。
憎悪と孤独を味わい、しだいに人が離れていく。
そう彼の中で純粋さが失われてしまったのです。

人間の幸せって、なんだろう。
高い知能でも名誉でも、お金でもない。
それらを得ても幸せにはなれません。
情感がなくては不幸せなのです。

何も知らずにいた、純粋だったあの頃。
その純粋さが宝物だったチャーリィ。
障害のある人を見ると可愛そうだのと卑下する人がいる。
本当の可愛そうな人はむしろ健常者の私たちではないだろうか・・と。

再び白痴に戻ったチャーリィに幸あれ!と祈ります。

思い出のとき修理します  ★★★★☆

(2014年3月13日読了)

思い出のとき修理します (集英社文庫)思い出のとき修理します (集英社文庫)
(2012/09/20)
谷 瑞恵

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(Story)
仕事に恋に疲れ、都会から思い出の地に引っ越してきた明里。子供の頃、少しだけ過ごした商店街で「おもいでの時、修理します」と奇妙なプレートを掲げた時計店を営む青年と出会う。思い出とは修理できるものなのか?商店街の不思議な出来事にふれあううちに明里は少しずつ彼に惹かれていく。


(Review)
子供の頃、楽しかった思い出の場所
昔懐かしさが残る商店街
それだけでも優しい情景が思い浮かびます。

主人公は都会で仕事や恋に疲れて、懐かしい思い出の地に引っ越してきた。
誰もが心に傷をもっている。または疲れている。
主人公も時計屋さんも、いち読者の私も・・
その傷を広げるような無理強いはしない。

舞台の商店街で出会う不思議な出来事。
まるで過去と現代の狭間は、まるでファンタジーの世界に引き込まれていく。
いつの間にか、心が癒されていく。

話に入りやすく、透明感のある文章がなお優しさを引き立てられ、タイトルのように思い出を修理してくれるのです。

読み終わった後、暖かい気持ちにさせてもらえる、余韻が残る物語でした。

私の思い出も修理してもらたい、疲れた心を癒されたいです。

noriさんからお借りしました、ありがとうございました。

新ハムレット ★★★★☆

(2013年3月27日読了)

新ハムレット (新潮文庫)新ハムレット (新潮文庫)
(1974/04/02)
太宰 治

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(Story)
名作シェイクスピア「ハムレット」を太宰治が、戯曲形式をそのままに現代人心理や悪の典型を交えながら描いた作品。


(Review)
劇団四季の「ハムレット」を観て以来、すっかりハムレットに魅了されました。
シェイクスピアの名作「ハムレット」は様々が解釈があり、事実私も原作での解釈と舞台の解釈の相違がありました。オフィーリアへの愛や悲しみを描いていた舞台の方が、原作よりドラマチックに感じ、感動いまだ冷めずです。

なので、他の人はどんな解釈をしているんだろうと気になり、ネットで検索したところ、太宰氏の「新ハムレット」を見つけたしだいです。
太宰氏といえば、「人間失格」にはまった青春時代を思い出します。

その太宰氏を描くハムレットはきっと真にせまったものに違いない。
ビンゴ!まさしくそのとおり。太宰氏のユーモアなセンスが光った「ハムレットってこんなヤツだよ」と描いてます。

原作と同じシリアスな内容かと思えばNo!ユーモアが混じった、笑える、そして思わず頷いてしまう、最後に空しさが残る作品です。

ここで言っておきたいのは、原作の戯曲形式で話は進められていますが、原作とまったく同じというわけでありません。そこにはハムレット王子=太宰氏で描かれているからです。
まるで、太宰氏がハムレット王子にでもなりきっているかのように。
ナルシストの彼らしいですな^^;

堕落的で人間不信な点も、可憐なオフィーリアに手を出したのも、戦争だというのに王子として戦闘に立たないのも、実にあなたらしい。というか、あなたはハムレットそのもの。
そして毒を吐きまくる!!!吐いて、吐いて、吐きまくってます!

「落第だけはするな!カンニングはしてもかまわない」
おい、親が教えることか?(爆~)
エライやつらは陰では何をしているかわからない、世の中は悪が入り乱れていることを皮肉っているのでしょう。
「弱い一兵卒になりましょう」これって、当時の日本を皮肉り、反戦をうかがえます。

もし、20世紀にシェイクスピアが蘇ったら、さぞかし驚くでしょう。
事実、シェイクスピア自身も史実を脚色していたというし(爆~)
まっ、いいか(爆~)

ますます太宰氏のファンになりました。

笑が欲しい時にまた読みたい一冊です。

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