ラムの映画&本ライフ

ラムの趣味である映画と本のレビューです。★5で満点、10通りに評価しています。
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マンチュリアン・レポート ★★★★☆

2016年3月19日読了
table border="0" cellpadding="5">マンチュリアン・リポート (講談社文庫)マンチュリアン・リポート (講談社文庫)浅田 次郎

講談社 2013-04-12
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(STORY)
昭和3年6月4日未明。張作霖を乗せた列車が爆破された。「事件の事実調査せよ」と天皇から勅命を受けた志津中尉。満州に赴き、張作霖の死について明かにしていく。


(REVIEW)
「蒼穹の昴」、浅田版「中国近代史」第4弾は、「張作霖爆破事件}を題材にしてます。

史実だから、結果はわかる。
タイトル、内容から重そうなので、長い間、避けてきた本です。

でも、そこは浅田わーるど。
重い題材もほんわかなにさせてくれました。

事件一年後の事件捜査と、事件当時の話が並行に展開していきます。
事件当時を語るのは、機関車「鋼鉄の公爵(アイアンディーク)」
公爵が語ることにより、暗い思い話が一転、ファンジーな世界が広がっていきます。

「蒼穹の昴」「中原の虹」なじみの深いキャラたちも出てくるわ。
テンションがあがる一方で、先の心配も・・

ディーク、君を故郷に行かせてあげたい。
張作霖も魅力的な人。
ああ、爆破しないでおくれ!という願いも空しく・・
ああ、これは史実なのだから・・><
人情味あふれる浅田わーるど。今回もホロリとさせてもらいました。

中国史、特に近代史は興味なかった私をひきつけてくれた「蒼穹の昴」シリーズ。
このままシリーズが終わるのでしょうか?
続きがありそうな気がするのですが。
続編があれば、また読みたいです。


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柘榴坂の仇討 ★★★★

(2014年9月8日再読)

柘榴坂の仇討 (中公文庫)柘榴坂の仇討 (中公文庫)
(2014/01/31)
浅田次郎

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(STORY)
「桜田門の変」で主君を失い、敵を探し続けていた志村金吾。ある日、元水戸浪士と遭遇する。時は明治6年、仇討禁止令が布告されていた。


(REVIEW)
映画の公開を機に再読しました。
浅田さんの温かみのある文章はじんわりと余韻を残してくれるので、何度でも読みたくなります。

時代が江戸から明治へ移ろうとも、変わらない男がいた。
主君の無念を晴らすため、探し求めていた男に出会う。
しかし、仇討禁止令が出る。
死に求めていたふたり、ここで打ち果てるのか?本作の焦点です。

苦しいのは自分だけではなかった、相手もまた苦しんでいたとわかった時、
ひとつの壁を乗り越えようとしてます。

ふたりとも決して器用な生き方はしてない。むしろ不器用です。
時代の変革に振り回されてしまった、正直で真っ直ぐな性格です。
その不器用なキャラこそが、読む側を自然と感情移入させてくれる。
これはいつの時代でも同じではないでしょうか。

時にはしんみりと、時には温かみを感じさせてくれる浅田ワールド。
また読みたい一作です。

プリズンホテル(全4巻)  ★★★★☆

(2013年10月再読)

夏 プリズンホテル(1) (プリズンホテル) (集英社文庫)夏 プリズンホテル(1) (プリズンホテル) (集英社文庫)
(2001/06/20)
浅田 次郎

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秋 プリズンホテル(2) (プリズンホテル) (集英社文庫)秋 プリズンホテル(2) (プリズンホテル) (集英社文庫)
(2001/07/19)
浅田 次郎

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冬 プリズンホテル(3) (プリズンホテル) (集英社文庫)冬 プリズンホテル(3) (プリズンホテル) (集英社文庫)
(2001/09/20)
浅田 次郎

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春 プリズンホテル(4) (プリズンホテル) (集英社文庫)春 プリズンホテル(4) (プリズンホテル) (集英社文庫)
(2001/11/20)
浅田 次郎

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(Story)
木戸孝之助は、極道小説でブレイクした売れっ子作家。ある日、たったひとりの身内である叔父が経営するホテルに赴いた。ホテルの名は「奥湯元あじさいホテル」、またの名を「プリズンホテル」といい、任侠団体専用のホテルであった。涙あり、笑いありの温泉ツアーへようこそ。


(Review)
再読したのは何年ぶりだろう。
ダークな気分になった時、元気が出るビタミン剤のような話を読みたいと、思い浮かべるのは、浅田さんの著書。今回も、ふと思いついて読んでみました。

浅田さんのキャラの特徴は人生にスポットライトを当たるようなキャラとは真逆の、一本気で不器用な人が多いです。
プリズンのホテルに働く人たちもそんな人ばかり。
従業員がばかりではない、客も同じく、クセがある人ばかり。
任侠専門とはいえ、一般の方も大歓迎。訳ありの方も大歓迎。
どんな人も差別はしない。はい、この世に存在しない幽霊であろうともです。

温泉旅行の目的は、日頃の疲れを癒すことではないでしょうか。
美味しいものを食べて、温泉に浸かって、心身ともに癒される。
それにプラス、プリズンホテルのサービスは心の傷をも癒してくれるのです。

四季に合わせて、夏は幽霊、秋は歌手、冬はマリア(看護師)さま、春は女優らのお客様がご来店しました。
みなさんそれぞれ、日頃のストレス、心の傷を抱えていた者ばかり。
4巻を合わせて登場するのが、主人公の幸之助。これがやっかいな奴で、見かけは大人でも、7歳で精神年齢が止まっているような人間。義母の富江さんや、恋人の清子さん、その娘のミカちゃん、実の母に愛情を求めていく、まるで子供そのもの。その彼が、(少しずつですが)成長していきます。
話の展開も、途中、騒動があっても、最後には元のサヤのおさまる。またはハッピーな気分にさせてくれます。

そこで考えるのは、どんなに素晴らしい一流のホテルでも、接客態度が悪いホテルがあります。
マニュアルだけのホテルや、人の足元で判断するホテル、面倒なことは避けるホテルなど、あげたらキリがないです。最近、流行となった「おもてなし」のない宿や店は、はたして気持ちがいいものでしょうか?
答えはNO!でしょう。
人が集まるのは、場所や建物の美しさではなく人なのです。
人は自分が認めてくれる、居場所と安らぎをもとめる人がいる場所。どんないいホテルでも接客がダメなら、いいホテルとは言えません。
プリズンホテルはその点、口が悪くても、接客用語が使えなくても、そんなのかまいません。暖かいおもてなしができるホテルなのですから。最高ではないでしょうか。

プリズンホテルは、また行きたくなる(読みたくなる)ホテルなのです。

壬生義士伝 ★★★★☆

(2013年9月17日、再読)

壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)
(2002/09)
浅田 次郎

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壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)
(2002/09)
浅田 次郎

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(Story)
慶応四年一月七日の夜更け。三日の夕刻に戦闘が開始された鳥羽伏見の戦いは、すでに決していた。大阪南部藩屋敷に脱藩した新選組隊士、吉村貫一郎が尋ねてきた。竹馬の友である蔵屋敷差配役を勤める大野次郎右衛門は、貫一郎に「腹ば切れ」と言い放った。元隊士を教え子が語る新選組隊士、吉村貫一郎の生涯。


(Review)
一刀斎夢録を読了した後、浅田新選組第一弾の本作を無性に読みたくなりました。
思えば、かれこれ約10年ぶりの再読となります。
昔、読了した後の感動を覚えています。その感動はそのまま。
浅田さん独特の語り口調の文章は、人情味あふれ、温かみがあります。
血なまぐさい新選組も浅田さんの手にかかれば、暖かいヒューマンドラマに変わる。
新選組のダークなイメージを払拭しています。

話の中心人物は吉村貫一郎。新選組のなじみの隊士ではない人物をスポットライトに当てるのは、浅田さんの人柄が伺えます。しかし、吉村という人物は「新撰組始末記」で少し描かれているくらいで、どんな人かはわかりません。
大正の世になって、隊士仲間や教え子たちの語りによって、少しずつ浮かび上がせていく。そのミステリアス手法はたまりません。
また慶応四年当時の彼の最期のシーンと交互に展開していくので、彼の過酷な運命にも触れることができます。

彼は何も人を斬りたかったわけではない。
貧しいため脱藩し、お金を稼ぎに新選組に入隊した。
新選組では守銭奴と蔑まれようと、故郷に残してきた家族に仕送りをする。
また飢えた者には握り飯を施す人でもある。

脱藩、守銭奴・・侍の風上にも置かない行動です。
どんなに罵られようと、家族のためならせねばならない。
死の間際まで、家族に想いを馳せるシーンは涙がそそります。

涙をそそるシーンは息子の嘉一郎にもあり。親友との水杯のシーンは思わず目頭を押さえてしまいます。

しんみりと終わるかと思えば、下の息子、貫一郎は農学博士となり、稲の育成と改良に取り組んでいます。
握り飯をたらふく食べさせたいという父の願いを、稲の改良することでかなえた息子。
親子二代の願いが叶えられた、希望に満ちた明るさを感じました。

一刀斉夢録 ★★★★☆

(2013年9月12日読了)

一刀斎夢録 上 (文春文庫)一刀斎夢録 上 (文春文庫)
(2013/09/03)
浅田 次郎

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一刀斎夢録 下 (文春文庫)一刀斎夢録 下 (文春文庫)
(2013/09/03)
浅田 次郎

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(Story)
明治を経て、大正の世まで生き延びた新選組三番隊長斎藤一のこと、一刀斎は、若き梶原中尉に夜毎語った。過ぎ去りし幕末の動乱、新選組、維新戦争、西南戦争・・一刀斎から語られた真実とは?


(Review)
浅田版「新選組」三部作。その三冊目とあって、三部作の中で一番の力作です。
「壬生義士伝」では吉村貫一郎、「輪違屋糸里」では島原の芸奴、糸里をスポットにあて、本作では新選組の中で最強と謂わしめた三番隊長、斎藤一が語る新選組が描かれています。
一刀斎、逆に読めば、斎藤(刀)一。彼は新選組を袂を分かちた御陵衛士にスパイとして送り込まれ、また戊辰戦争では会津藩に留まったことから会津藩のスパイとも言われているため、ミステリアスな印象があります。
このミステリアスな男は既に大正の世では70齢。
浅田さんお得意の語り口調の文章は、人情味にあふれ、どんな血なまぐさい場面でも残酷さを感じさせず、読みやすい。むしろ、読了した後の余韻が感じるのは、浅田さんの人柄が感じます。本作も浅田ワールド全開の作品です。

それはひとえに浅田さんの新選組に対する思いを作品の中でヒシヒシと感じます。
一さんの語り口調から、新選組の面々が浮かび上がってくる。それも、ひとり、ひとりの特徴を掴んでいるから、呼んでいる側にも想像しやすい。
中でも土方歳三のこと、歳さんは一枚も2枚も上にいく策士です。
組織作りでも、戦闘でも優れている彼がもし明治の世に生きていたらと想像するだけでワクワクします。
新選組と新政府軍から目につけられているため、戦死しなかったとしても、生き延びることは無理だろうと思いますが。あたし、また歳しゃま熱が復活しそう*^^*

また浅田流、幕末史を紐解いています。
一さんから語られる龍馬暗殺の真相ですが、「一さん自身が実行犯、黒幕は薩摩と伊藤派」と語られています。実に興味深い^^

後半、軸をなすのが、市村鉄之助。
彼は歳さんの小姓であり、箱館戦争中、密かに五稜郭から脱出させ、日野に使いをして送られた少年です。
その彼の行方はいかに?
一さんの生きてくれと願い、斬られるなら彼という思いが、読む側の私の心を打ちます。
でも、それは反対となり・・短い鉄之助の生涯で思い出すのは、「壬生義士伝」の貫一郎の息子、嘉一郎。彼と親友と交わす水杯のシーンは胸を熱くさせれました。そして、本作でも鉄之助くんも短い生涯に涙をそそります。

浅田さん、泣かせ上手です。

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