FC2ブログ
2021/05/08

笑いの大学   ★★★★

2021年4月30日、DVD鑑賞


2004年、日本映画
脚本・・・星護
脚本・・・三谷幸喜
出演・・・役所広司
     稲垣吾郎

(STORY)
昭和15年10月。
日本は戦争の影を落とし、娯楽の規制され、検問を受けないと上演できなくなってしまった。
一度も笑ったこともない検閲官、向坂(役所広司)の元に劇団”笑いの大学”の喜劇作家、椿(稲垣吾郎)がやってきた。
なんとしても上演させたい椿は向坂の要求を飲みながら書き直していく。
そんな日々が続いていくうちに、いつしか向坂も台本直しに夢中になっていく。


(REVIEW)
いつかは観たいと思っていた映画です。
10数年の時を経てやっと観ることができました。
演劇、戦争・・朝のTV小説「おちょやん」とかぶる時代でもあります。
時代が次第に戦争へと傾き、国民の娯楽も検問を通さないと上演できない、
エンターテインメントにとっては暗黒な時代をコミカルに描いています。

配役の適材適所で、
舞台は個室で、主役のふたりの会話で展開していきました。
コミカルな演技も上手い役所さん、
役所さんと対等な演技をみせた稲垣さん、
ふたりのコミカルなやりとりは素晴らしかったです。

娯楽は低俗だと笑いを憎んでいた向坂が、
劇作家、椿と連日のやりとりをしているうちに
次第に笑の魅力にはまっていきます。
しかし、運命はなんと過酷なことか、
やっと完成させた台本が上演できなくなってしまいます。
椿のモデルは喜劇作家・菊谷栄。
終盤、史実とおり椿が招集されたから・・
笑いの中にも涙あり、
主演のふたりのやりとりに心を熱くし、
ラスト、じんわりとさせました。
これぞ、邦画の王道です。

舞台版も是非観たいです。





スポンサーサイト



2021/04/06

すばらしき世界   ★★★★☆

2021年2月17日劇場鑑賞



2021年、日本映画
監督・・・西川美和
出演・・・役所広司
     仲野太賀
     橋爪功

(STORY)
殺人罪の服役を終え、13年ぶりに出所した三上正夫(役所広司)は、
今度こそ堅気になると下町のおんぼろアパートで新たなスタートを切った。
身元引受人の弁護士の庄司(橋爪功)など人々の助けをかりながら、
自立するため職探しをするが苦戦をしていた。
その頃、小説家を目指す津乃田(仲野太賀)の元に仕事が舞い込んできた。
前科者の三上が社会復帰をし、生き別れた母親と再会をするドキュメンタリー番組で、
津乃田に送られてきた三上の身分証に目を通していた。


(REVIEW)
「ディアドクター」「ゆれる」の西川監督と
名優の役所広司がタックを組んだ作品です。

役所さんが演じる三上は正直で正義感が強い人。
人生の大半を刑務所で過ごした彼にとっては、
今の社会は住みにくい。
服役した者が社会復帰することは難しく、
正直者が生きにくさをリアルに描いています。
また瞬間湯沸かし器のような彼の性格は、
親の虐待による幼少年の環境にあり、
親のせいにするではないと言われますが、
もし生まれる場所が違っていたなら、
違う人生であっただろうにと思うばかりでした。

なんて不器用な人なんだろうと思いつつ、
不器用だからこそ、惹かれるものがあります。
そんな人間味をあふれる三上を演じた役所さん、
さすが演技派です。
その彼を取材する津乃田を演じる仲野太賀も目が離せませんでした。
取材と通じて、三上という人間に惹かれていく心理描写が丁寧でした。

不器用な人間が住むにくい世の中でも
手を差し伸べてくれる人もいる。
人々に支えられながら、介護士として再出発するが
嵐の日に亡くなってしまいます。

彼が働いていた介護施設でもいじめがあり、
生きるためならば、弱者を助けてはいけない。
そんな理不尽なことを強いられてしまう。
正義感が強い彼のこと、
このまま今の世の中で生きることは茨の道であっただろうにと。
でも、彼なりに努力をして生きていた世界は素晴らしいものであったこと。
温かみと余韻が残る作品でした。




2021/03/10

SHADOW-影武者ー  ★★★

2021年1月15日DVD鑑賞



2018年、中国映画
監督・・・・チャン・イーモウ
出演・・・・ダン・チャオ
      スン・リー
      チェン・カイ

(STORY)
時は戦国時代。
沛<ペイ>国が領土を、強大な炎国に奪われて20年。
都督の影武者(ダン・チャオ 二役)は、
炎国の将軍に闘いを挑むという重大な任務を任された。


(REVIEW)
久々のチャン・イーモウ監督作品。
ダン・チャオ、スン・リー夫妻が本作でも夫婦役で出演してます。

タイトルとおり黒と白、敵は炎(赤)を表し、
まるで水彩画を描いたような芸術の作品です。
静かに流れるように展開しながらも、
闘いのシーンは激しく、
残虐しすぎるシーンは美しく、
夫婦の琴の競演の演出は素晴らしいです。
都督と影武者の2役を演じたダン・チャオ、さすが演技派です。
一方、スン。リーは
「ミーユエ」「月に咲く花の如く」のような活動的な女性とは真逆の
静な演技も魅力的でした。

闘いのシーンで終りかと思えば、
最後の最後まで見ごたえありました。
キャラに感情移入できるわけでもなく、
話に入り込むことはありませんでしたが、
観終わった後に余韻が残り、
久々にイーモウわーるどに浸りました。

2021/02/23

隋唐演義 ★★★★

2020年9月~12月 TV放映


2013年中国ドラマ、全62話
(CAST)
秦瓊(しんけい)・・・・・・・・イェン・クアン
程咬金(ていこうきん)・・・・ジャン・ウー
羅成(らせい)・・・・・・・・・・・チャン・ハン

(STORY)
隋の時代。第二代目皇帝・煬帝の悪政により、民は苦しんでいた。
秦瓊を筆頭に勇者46人が打倒・隋を掲げて瓦崗寨に集結し、
反朝廷の狼煙を上げた。
隋の興亡、唐の建国までを描いた歴史ドラマ。


(REVIEW)
「三国志」「邦人演義」と並ぶ中国の三大演義のひとつ。
隋の興亡から唐の建国までを描いたドラマで、
悪政を憎み、国の為、民のために立ち上がった勇者たちを
ドラマチックに描いています。

「武則天」の後番組をそのまま見始めましたが、
正直、最初は古臭いなと感じました。
悪政を滅ぼし、新たな国を作ろうとする、
そのワクワクドキドキ感がたまらない。
善と悪がはっきりと分かれているので、
キャストが多くてもメリハリがあり、
うざいと感じる人はなし。
脚本の出来の良さが光っていました。

最初はただのチャンバラ風の時代劇かと思っていたドラマも
後半は死人が多く、悲哀感がありました。
打倒隋をかかげた勇者たちも、目的を果たすと、
それぞれの信念を果たそうとする為、仲間割れをする。
結ばれると確信していた羅成と単盈盈(ぜんえいえい)が
離れ離れのままになるとは。
彼らには結ばれてほしかったな。
そのせいか、もう少し見たかった気もあり、
物足りなさを感じました。

ドラマを動かしているのはファムファタールともいうべき蕭美娘(しょうびじょう。
国が滅亡すると、煬帝に取り付き、隋を滅亡させる。
さらに李密と親密になり瓦崗寨に乗り込み、
仲間たちを散りバラバラにさせ、
またも国を滅ぼす。
いわゆる疫病神かと思える彼女ですが、
彼女がいなければドラマはなりたたない。
彼女に惑わされ、動かされている男たち。
いくら勇者であろうとも、彼女の魔力には勝てなかった。
そのせいか、他のキャラはかすんでしまいました。
2021/02/17

やくざと家族 The Family ★★★★☆

2021年2月1日 劇場鑑賞


2021年日本映画
監督・・・・・・藤井道人
出演・・・・・・綾野 剛
        舘ひろし
        尾野真千子

(STORY)
1999年。覚せい剤で父親を亡くした山本賢治(綾野剛)は、その日暮らしをしていた。
ある日、柴咲組組長(舘ひろし)を救ったことをきっかけにやくざの世界に足を踏み入れる。
自暴自棄になっていた賢治にとって、父親というべき柴崎を父子の契りを交わし、
裏社会を渡り歩き、頭角を現していく。
2005年、因縁の相手との争いが激化する中、
工藤由香(尾野真千子)と出会う。


(REVIEW)
親分を救ったきっかけでやくざの世界に足を踏み入れるという、
ありきたりの展開から始まります。

一本気の男が義理人情に厚く、
家族・・やくざの世界で契りを交わした家族を思うあまり、
身代わりとなり長い間、刑務を強いられてしまう。
前半の華やかなやくざの世界から、
後半は出所した世界はガラリと変わり、
ヤクザが社会から追いやられ、
肩身の狭い生活になってしまう。

普通の生活をするため、
やくざの世界から足を洗い、
愛する人と娘と一緒の生活をし、
幸せな日々を送ろうとしたのに
元やくざということで生活を奪われてしまう。

抗争を繰り返し、決め台詞を言い、
かっこいいという任侠の世界はどこへ。
ただひとりの人間としてのドキュメンタリー映画を観ているかのように、
行き場のない彼らはどうするんだろう?
ラストはどうなるんだろう?と
気持ちが駆り立てられました。

その世界しかわからない、
その世界しか生きられない、
たとえ生き方を変えようとしても踏みにじられてしまう。
SNSに負けてしまい、大切にした幸せを奪われてしまう。
やくざに人権がない、排除されてしまう。
こんなにもせつなくなった任侠映画はあるだろうか。
でも、要領よく生きる人たちもいる。
そう彼らは不器用な人間。
時代が変わってしまった、
時代に乗り遅れた、
時代についていけない。
これは劇中の彼らばかりではない。
自分にも当てはまり、彼らに投影してしまいました。

3つの時代を描くには限られた時間では
描き切れてなかった感じもありましたが、
よくまとめてあったと思います。

「万引き家族」でも同じことを思いましたが、
人間として大事なものを失ってしまう。
普通って何でしょう?
そのことを考えずにはいられません。